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ハリセンボンがカヌーになった話

半場です

30年ほど前に横山晃氏設計の木造セーリングカナディアンを作りました。

アクアミューズの原型、やや大型の船体に
自分なりの乗り方に合わせるため、横山設計事務所に通い
横山先生の話を聞き、私のアイデアを設計に盛り込んでもらったのです。

そして工法は接着のみで、リブに外板を接着する為に大量のビスを使い、
接着後そのビスは抜き取り、空いたビス穴には接着剤を塗った爪楊枝を刺し
接着剤硬化後に切り取り、平滑に磨きました。
爪楊枝を刺した状態が、写真のハリセンボン”。
その針の総数4,500本です。

友人と妻と私の3人がかりで、制作時間の合計1,200時間でした。
その結果として
強度の高い船体、
耐波性能と荒れた海面でのハイスピード、
そして軽い漕ぎ味、楽チンな粘り腰
といった性能を実現できたのです。

セール面積を調整する3段階リーフ(縮帆装置)を備え
他艇が躊躇する強風時にも出艇できました。
沈をしても起こせば排水されそのまま進むことができる様に
浮力体を調整してあります。

その性能全体が血統として YT17へと引き継がれています。
スマートなシーカヤックに驚異的な復元力を備え、
それが荒天時の複雑に動く海面でのハイスピードを実現し
静水では なんとも言えない 感じの良い乗り味となります。