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やばかった!

やばい! 遭難者を出すところだった。

 

私はスタンドアローンと自負して70歳になっても基本的には一人で楽しんで来ましたが、

今回自分に足りなさを感じた出来事です。

(この話はプライバシーなどの関係から人や場所等は伏せてあります。)

 

11月、久しぶりにベテランの友人と海に慣れたメンバー達との楽しい楽チンツアーに出かけました。

無風、ぽかぽかした好天、みんな パドリングが速い速い!

「おーい、待ってくれ、」と グループ最後尾から何度も頼みました。

行きはよいよい。

 

その帰りの事です。

入り組んだ地形の中で天候の急変に会い10mを軽く超える追い風の強風と、複雑な地形による反復波を交えた乱波で、

グループは各艇が方向性を保てず分散し始め、そして 窮地に落ち入りました。

 

私が生簀に吹き寄せられる1艇を 大声で誘導し終わる頃、遠くに転覆した艇が見えます。 

乱波に叩かれバランスを取るため懸命に漕いで前に出てしまったのでしょう。

私は頑張って駆けつけましたが乱波がひどいので、漕ぎ回り励ますだけで、助け起こす事は出来ない。 

起こせても又転覆を繰り返すでしょう。

私は湖のカヌー教室の仕事で、平水での救助は慣れてます。

でも 今回の強風と乱波の中では役に立ちませんでした。

沈起こしも出来ず、なんとか逃げ上がれる場所まで誘導出来ただけでした。

他のメンバーを探すと、他でも突風をパドルに受けた艇が沈に至っていたのです。

強風は止まず、最後は皆、地元の動力船に救助されました。

幸い私だけは全員が避難する漁港まで一人漕ぎ帰りホッと出来ました。

みんなの前では 明るく振る舞いましたが、なんとも言えぬ無力感にさいなまれました。

 

皆さん、私の立場を自分のものとして読み返して見てください。

色々考える点があるはずです。

 

まず必要だったのが、地域独特の気象の先読み能力です。(私は失敗した)

メンバー個々の能力と船の耐候性を全員が共有し、局面が変わるごとに逃げるか行くか確認しあう事も必要。(どれも出来ていなかった)

装備品の把握も必要です。(自分の物しか出来ていなかった)

リーダーが存在するなら それらの要素全体を把握して、怪しければすぐに逃げの命令を出す。

(そんなリーダー居るだろうか?普通のグループには居ないと思って良いだろう。

何かあったとき『責任者』と言われかねないし、言われても 命の責任など取れるはずもない)

 

一方で、良かった事として、

全員がウェットスーツを着ていた。

私の大声はおおいに役に立った。(大きな声は普段から練習が必要です)

地元の人たちがとても親切でした。

私だけでもYT17に乗っていた。(もともと荒天用の設計

 

 

70歳になった私はパワーやテクニックはもう期待出来ないが、とても多くの経験から得た知識が有る。

私の経験と知識が形になったかの様な舟=YT17の荒天性能とスピードに助けられ、困ることは全く無かった。

これからも1020?YT17に頼って、規模は縮んでもこの楽しみは続けられるんだろうなぁと感じている。

まあ グループツアーとしてはお互い人任せの甘えがあった。

 

「ドジしたな~」と沈んで行く事はは許されない。

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コメント: 5
  • #1

    たかちゃん (金曜日, 27 3月 2020 07:58)

    今回、たいへん貴重な経験をお話し頂きありがとうございます。私もカヌーの知人を事故で亡くしているので身をつまされます。グループの場合はソロと違い安全確認も人任せになることが多々あります。リーダーの必要性を感じますが愛好会ならあまり口出しは嫌われるし難しいですよね。上記の私の経験はやはりグループなのでより難しいコースにグループで行きリーダーと知人だけ亡くなり他のメンバーは待機していたグループのレスキューにたすけられました。一斉に沈したため初心者を先にレスキューさせたそうですが経験豊富なリーダーと知人は自力でレスキューしようとしましたが残念ながら命を失いました。

  • #2

    1号艇 田中 (土曜日, 28 3月 2020 11:15)

    もし 仕事中のミスや 交通事故 までも含めて言うのならば、ある程度の年齢になれば 人間だれでも 何度かは死に直面した経験はあるのだろうと思います。その内で レジャー中の事故だけに特別な罪悪感を感じ、逆に仕事中の事例ではある種の武勇談として話せたりもして、そこを不思議に感じます。たかちゃんさん、つらかった御経験を書き込んで頂き、ありがとうございました。皆様にとってはレジャー中の事例であっても、私達にとっては仕事の範疇です。情報提供をありがとうございました。何かに活かしたいです。以前、YT17の標準ハッチの口径の事で、2号艇の半場さんと私で意見がぶつかった事が有りました。「なんらかの理由で荒天中にハッチが開いた場合でも波の打ち込みを最小限にするために、ハッチの口径は最大でも6インチまでだ。」とする私の意見と、「普段の点検のとき頭を突っ込んでハッチ内を肉眼で確認すると確実だろ。口径は最低でも8インチ以上だ。」とする半場さんの意見がぶつかり、8インチに決定。判断理由は両者の経験量の大差でした。

  • #3

    半場です 2号艇 (土曜日, 28 3月 2020 23:34)

    たかちゃん様
    辛い経験を話して頂き有難うございました。グループで行動するのは難しいと今回つくづく感じました。
    呑気に考えていても状況が変われば、相手に責任を感じねければならないし、相手も私のことを考えていると思うと自身の自由が狭めれれてしまいます。 まして親しいメンバーをもし亡くしてしまったら、考えても恐ろしいです。

  • #4

    峯村 (日曜日, 29 3月 2020 12:19)

    グループ漕ぎの難しさ、考えさせられます。仲間内だとつい、馴れ合い・雰囲気で行動してしまいがち。それで危ない思いをした事があります。グループ漕ぎは難しいけれど、「天候急変」ではなくて「急病発生」だったらソロのほうがリスク高いと思ったり。答えは出せるものではないけれど、「自分も全く同じ事を起こす可能性がある」と思ってうーんと考えてます。

  • #5

    1号艇 田中 (日曜日, 29 3月 2020 14:10)

    峯村さん、ほんと そう思いますね。悪条件は重なると ダメージが増す感じがするので、急病発生には「便所ガマンして真っ青になる」、という程度のものも含めてますし、急なケガ、にも「釣り針が刺さった」程度の軽いのも含めないと 実際に役に立たない。天候急変に気づいてはいたが、便所の在る港まで無理して向かおうと焦って指に釣り針刺しちゃったから、パドリングのスピードが落ちて、ああなってこうなった なんていう負のスパイラルは嫌です。超ビビってるとき 便意は引っ込む、という知識や、ステンレスのペンチの装備、他にも水筒を忘れた時に海水は飲めるかどうか、とかを普段確認しておくと気休めにはなりますね。良かったらまたコメント下さい。待ってます。